「市長の思いと現場の意思が進めた 札幌市のアクセシビリティ」札幌市役所の場合
わたしはこう使う「電話リレーサービス」
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このインタビュー動画は、拡張音声解説版です。
動画では、利用者または関係者がインタビューを受けており、字幕と手話ワイプが付いています。
インタビューシリーズ:わたしたちはこう使う『電話リレーサービス』
「市長の思いと現場の意思が進めた、札幌市のアクセシビリティ」
札幌市役所の場合
秋元市長と高元相談員
市長室で、インタビューを受ける札幌市の秋元市長。
質問1:電話リレーサービスを知っていましたか?
はい。
札幌市では、ろう者など障害のある方々もいろいろな意思疎通、コミュニケーションがしっかりとれるような
環境整備をしようということで、
平成29年12月に札幌市の障害者コミュニケーション条例を制定しました。
その翌年3月には、手話が言語であるということを皆さんにしっかり認識をしていただくための手話言語条例を制定をしております。
そういった中で、いろいろな障害のある方々もコミュニケーションをしっかり取れる環境を整備をしていこうということを進めてまいりました。
電話リレーサービスの活用によって、耳のきこえない方、また発話が困難な方も、
電話を使って職務にあたることができることを知り、
これは条例に掲げる精神を実現できる、共生社会の実現につながるんじゃないかという印象をもっていました。
質問2:法人登録を決めた経緯は?
札幌市では、ろう者への相談支援を充実させるために、当事者であるろう者の相談員を置いております。
これを「ろうあ者相談員」と呼びますが、昭和39年より設置をしています。
電話リレーサービスを導入することで、今までは相談された内容を他の職員を介して外部につなげていましたが、
このサービスを使うことで、非常に働きやすい環境になること、
それから市民の方にも、以前はメールやFAXを使っていたんですけど、電話でやり取りがつくので、非常に回答が早くできること、
つまりこれまで以上の市民サービスにもつながるということで、5年の2月に法人登録をしました。
質問3:導入後の取り組みを教えてください。
ろうあ者相談員から、市民の方をお待たせすることなく、多くの相談に応じることができるとききました。
そういう意味では、非常に効果を感じながら、
一方で、連絡を取る外部の方、受け手のほうが間違い電話じゃないかと勘違いされて、
電話リレーサービスであることをご理解いただけないケースがあることもききました。
そこで、電話リレーサービスの認知度を高めていくことが必要ではないかと感じまして、
札幌市内のいろいろな企業、また札幌とつながりをもった企業、
例えば、商工会議所の会員2万社以上に対して、
電話リレーサービスがどういうものなのかを知っていただくために、
市のホームページなど、いろいろな形で周知して、理解を広げているところです。
質問4:導入により起こった変化は?
外部との連絡をする時に、今までですと、
電話を使うことになると、他の職員にお願いをして、電話をかけてもらうことが必要でしたけれども、
電話リレーサービスを使うことで、他の職員に気兼ねすることなく、
市民からの相談を受けて、外部につなぐ。
こういったことができますので、仕事のやり方というか、幅ができたり、
あるいは働きやすい環境につながって、組織全体としても、非常に効率良くなったと感じています。
質問5:札幌市にとって電話リレーサービスとは?
電話リレーサービスを使うと、これまで聴覚に障害のある方のバリアになっていた部分が除去されて、
いろいろな情報のやり取りでも、いわゆるアクセシビリティが高まってくると思っています。
そういう意味でも大変重要なツールという認識をしています。
今実際に、ろうあ者相談員が市民からの相談を受けて、
このサービスを使うことで、他の職員に頼むことなく仕事ができるので、
非常に効率も上がっているという状況があります。
そういう意味では、仕事の効率もちろんですけど、働きやすい環境にもつながっており、
相談員だけではなくて、それ以外の聴覚障害のある職員にも職場で使っていければと思っていますし、
またいろいろな市民サービスの向上にもつなげていければ、広げていきたいなと思っています。
画面が変わって、会議室で、手話でインタビューを受ける札幌市の高元ろうあ者相談員。
質問1:電話リレーサービスを知っていましたか?
知っていました。
札幌市役所本庁から電話リレーサービスの登録意向を確認され、
市内10区の相談員が一致して使いたいと回答して使い始めました。
質問2:法人登録をすると知った時の心境は?
よかった!仕事がしやすくなる!
信じられない!と思いました。
質問3:業務で使い始めてどれくらいですか?
令和5年2月からです。
もう1年過ぎましたね。
質問4:仕事で初めて利用したのは?
ろうあ者相談員として来談者の相談を受けたときでした。
来談者に届いた、温水器メンテナンスの日程調整の手紙には
電話番号しか書かれていませんでした。
当時、私はまだ電話リレーサービスを使ったことがなかったのですが、
来談者の依頼なので、思い切って使ってみました。
質問5:仕事で利用していて嬉しかったことは?
相談を受けるときは面談室を使います。
自席から電話リレーサービス用のタブレットを面談室に持ち込んで電話しています。
来談者が私の使っているところをみて、
「こんな方法があったんだ!分かりやすい!」と言ってくれました。
自分も登録したいという方がたくさんいて、
登録をサポートすることで、来談者の自立にもつながっています。
質問6:導入により起こった変化は?
とにかく仕事がしやすくなりました。
今までは代理電話の依頼があると、他の職員にお願いしていました。
仕事を中断させてしまい、申し訳なさを感じることもありました。
今はきこえる人と対等に仕事ができ、充足感があります。
質問7:あなたにとって電話リレーサービスとは?
きこえる人が使う電話の代わりは、きこえない人にとってはFAXやメールではありません。
電話リレーサービスだと思います。
FAXやメールを送っても、返事を待つ必要があり、来談者にすぐに回答できません。
電話リレーサービスなら、その場で確認し来談者に応じられます。
私にとっては、仕事の良き相棒です。
手話で、文字で、電話を通訳。電話リレーサービス。
日本財団電話リレーサービスのロゴ。
連載:「インタビューシリーズ:わたしはこう使う『電話リレーサービス』」とは
「電話リレーサービスってどう使うの?」に具体的におこたえするドキュメンタリーシリーズの第2弾です。
昨年度に引き続き、電話リレーサービスの活用事例に焦点をあて、日々の生活のなかで電話をどう使っているか、またそれにより訪れた変化などお伺いしました。 第2弾は、利用者本人だけでなく、その周辺にいる方々にもインタビューを実施しました。おひとりおひとりの「電話リレーサービス活用術」を是非ご覧ください。
その他のインタビューは以下のリンクよりご覧になれます。
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